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どんなひどい世界になっても希望は
あると教えてくれる作品

──『utopia』では地球温暖化が進み、子どもたちは地下通学路で学校に通います。崎山さんには「夏」をテーマにされた歌がいくつかあるので、夏を舞台にしたマンガを選ばれて妙に納得しました。

たしかに「夏」は一番歌ってるかもしれません。僕が8月31日の夏生まれなので、そのせいなのかな。夏ってイメージしやすいから歌になるんですよね。「なつ」って音の響きも乗りやすいし。でも作詞をするときは今の猛暑っていうよりは、もっと涼しかった昔の夏をイメージしているかも。北野武監督の映画の夏みたいな。

──ちなみに崎山さんはどんな小学生でしたか?

どうだろう……なんか今ふと思い出したのは、帰り道が一緒だった友だち6人で、家まで走ってたことですね。あれイヤだったなぁ。疲れるし(苦笑)。

──道を走ってる子どもってよく見かけますけど、内心「走りたくないなぁ……」って思ってる子がいるんですね(笑)。

うん。公園で泥を投げ合うのも汚れるのでイヤでした(笑)。

──崎山さんのキャリアは高校生のときに学ランで歌ったところから始まっています。当時はまだ学生でしたが、その頃と今で、自分は変わったなって思うことはありますか。

だいぶ変わっちゃってますよ。お酒とか飲んじゃってますし。ひとりで富士そばとか日高屋に行って、ぐんぴぃさん(お笑いコンビ 春とヒコーキ)とか(芸人の)永野さんの動画を見ながら飲んでると、「2026年に来ちゃったなぁ。大人になっちゃったなぁ」って実感します(笑)。

──大人になった崎山さんが切り抜いたコマが、教室の窓から外を眺める子どもたちの姿に「とっても感性豊かなんですよ」というセリフがのった場面というのがエモいんですよ。なぜ、このコマを切り抜いたのでしょうか?

子どもたちはどんな時代でも感性豊かに育つ。その事実に励まされたんですよね。今の僕たちからすれば、地上を歩けないほどの温暖化はとても過酷だけど、それでも子どもたちはのびのびとしている。いつの時代も「今の子は……」って言われますけど、大人の不安とは関係なく、子どもたちは感性豊かに生きている。そういう希望を見せてくれる素敵なカットなので切り抜きたいなと思いましたね。

ふだん同世代の子たちと喋るとき「これから世界はどうなっていくんだろう……」って話になることはよくあって。未来に不安を抱いているZ世代って少なくないんです。でも『utopia』は、どんなに酷い未来が来たとしても希望はある、と本気で信じているマンガなんですよね。新しい感性で未来を切り開いていくひともいっぱい出てくるだろうという期待の描かれ方にも説得力があります。

──崎山さんもその新しい感性を持ったアーティストとして注目されています。

うーん……自分が歌を作ってるときは希望の置き方が難しいなとよく思うんです。八方塞がりの状況で、どこに着地させたらいいんだろうって。『utopia』はそういう閉塞感を見事に突破しているところが素晴らしいんです。

マンガの瞬発力に音楽で追いつきたい

──最後になりますが「切り抜きジャンプ+」を使ってみていかがでしたか。

すっごいおもしろいですね。ジャンプ本誌の紙色を再現できるのも懐かしかったです。自分の加工がすごくシンプルになっちゃったのが申し訳ないですけど……(苦笑)。

崎山さんが「切り抜きジャンプ+」で作成した切り抜き画像

──ミニマルなアレンジで作品の良さを損なわないようにされているところに、崎山さんの人柄を感じました。ちなみに「切り抜く」という行為についてはどういう印象がありますか?

僕は超リール世代なんで、とても親和性があります。30秒の動画で知って好きになったアーティストもたくさんいますし。その点、音楽って切り取りといっても30秒くらいは聞かないとわからないのがもどかしいくらい。

マンガは一枚絵で伝わる強さがあるので羨ましいです。絵のケタ違いの瞬発力に音楽でどうやったら近づけるんだろうって、ずっと考えていますね。

取材・執筆:安里和哲
撮影:芝山健太
編集:今井雄紀(株式会社ツドイ)
プロデューサー:金子大清(株式会社ツドイ)
ヘアメイク:勝部絵理奈

作品名
utopia
作者名
夕暮宇宙船
夏の異常気象と生活のAI化が進んだ2045年。古き良き夏の文化が失われつつあるなか、この時代を生きる子供たちはかつての夏の暑さを知りたくなり…
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