
〝遊び〟と王道のバランスがたまらん!
——今回は「切り抜きたい作品」として『ダンダダン』を選んでいただきました。選定された理由はなんだったのでしょうか?
単純にめっちゃおもしろいですよね! それに嘘みたいに絵が上手い!
あと、作者の龍先生が〝マンガで遊んでる〟感じがめっちゃ好きなんです。「楽しんで描いてるんだろうな」「マンガが好きなんだろうな、この先生」っていうのが、伝わってくるんですよ。
たとえば、鳥山明先生の『Dr.スランプ』(鳥山明、集英社)では、ふつうにガメラが登場したりするんですよね。それと同じように、『ダンダダン』にもいろんなパロディが散りばめられてる。きっと龍先生は成田先生(ウルトラマンの怪獣などのデザインを手掛けた成田亨さん)のデザインがお好きなんでしょうね。そういうメタ的な要素がたくさんあるので、読んでいてすごい楽しいです。

ただ、お笑いのネタとかでもそうですけど、メタすぎるのは俺ちょっと冷めちゃうんですよね。映画でもマンガでも、作り手のアドリブとか内輪ノリが透けて見えると、なんか入り込めなくなる。でも、『ダンダダン』はマンガでたっぷり〝遊んで〟いるのに、読者をまったく冷めさせない感じがすごいなと思いますね。
やっぱり、王道な感じも崩さないのがいいんだろうな。アクさら(アクロバティックさらさら)と愛羅ちゃんのエピソードとかめちゃくちゃ泣いたんですけど、あれぐらいザ・美談もしっかり入れてくれるじゃないですか。オカルンとモモちゃんの恋愛の感じもベタでめっちゃいいし! そういう正統派な要素と遊びの部分のバランスがすごく良いマンガだと思います。
——今回切り抜き画像に選んでいただいたコマは8話15ページ。ターボババアとの初めてのバトルが決着して、みんなで蟹を食べているシーンですね。

この蟹食うシーン、かわいくて大好きなんですよ。モモちゃんの蟹に夢中な顔がめっちゃかわいいっすよね。
こういう日常的なコマとか些細な表情でも、「うわ、このマンガ楽しんで書いてらっしゃるんだろうな」って思えて、なんか読んでるこっちまで嬉しくなるんですよね。


ジャンボさんが「切り抜きジャンプ+」で作成した切り抜き画像。こうして自分流にデコレーションができるのも特徴のひとつ
——『ダンダダン』は、魅力的なキャラクターが多いのも特長だと思いますが、ジャンボさんがとくに好きなキャラクターはいますか?
ターボババアとか好きですね。マスコット感がかわいらしい。招き猫に入ってから、弱くなったのに強気な性格は全然変わってないところがめっちゃかわいくて好きです。
あと、ジジの実家に行ったときの、お札ばっかりの部屋を見つけるシーンあるじゃないですか。あそこめっちゃ怖くて良かった! 鬼頭家のおばちゃんとかおじさんの気持ち悪い感じも最高で、読んでてマジでワクワクしました。

——他にも、少年ジャンプ+の中で好きな作品はありますか?
最近は『ふつうの軽音部』(クワハリ・出内テツオ)にどハマりしてます! 青春系のマンガも大好きなんですけど、『ふつうの軽音部』は、もう「こんなんが読みたいのよ!」ってシーンのオンパレードで、一気に引き込まれました! 押しつけがましい青春じゃないのがいいですよね。

(25話14ページを見ながら)この顔がめっちゃ良いんですよ。この食らった顔!
俺、元々『日々ロック』(榎屋克優、集英社)がめっちゃ好きなんです。榎屋先生が人生をかけて書いた歌詞と演奏描写、そのパワーを食らっている聞き手の表情……。思い出しただけで泣きそうになるんすよね。
このシーンを読みながら、ハタチの頃、初めて『日々ロック』を読んで、体が熱くなったときのことを思い出しました。

マンガ熱をコントへ昇華する
——今日はジャンボさんのマンガ熱に圧倒されました。芸人さんの中にはマンガ好きな方も多い印象ですが、周りの方とおすすめしあったりもされるんですか?
いや、あんまりマンガのことは話さんっすね。もしかしたら、こういう「語りたい欲」はコントで全部出せてるのかもしれないです。
「見た目ハズレだけど男ウケする話持ちすぎてモテる女」ってコントがあるんですけど、このシリーズは全部俺が語りたいことを好きに語ってるんです。マンガの話だと手塚治虫さんの話とか、青山剛昌先生の『4番サード』(小学館)の話とか。同世代と自分よりちょっと上の世代の男子にウケるんですよね。
——なるほど、マンガ好きや「調べオタク」な部分がコントにも活きているんですね。他にもマンガから影響を受けている部分などはありますか?
そうですね。ちょうど今も単独のネタをつくってるところなんですけど、本当にキャラが良いとネタをつくるのがめっちゃ簡単なんですよ。ボケもセリフも勝手に浮かぶ。
劇画村塾っていう、小池一夫さんがやっていたマンガ塾で最初に教えることって「とにかく魅力的なキャラクターを描け」だったらしいんです。「そうしたら勝手にキャラが動くから」って。小池村塾卒業生の高橋留美子さんも板垣恵介さんも、みんなその教えを意識して描いてるじゃないですか。とにかくキャラクターが動いて物語が進んでいく感じ。

コントもマジでそうだと思います。池ちゃん(相方:池田直人さん)ともいつも、「なんか魅力的なキャラいねぇかな」「なんか動くキャラいる?」って話すんです。リアルで見かけた人や、それこそマンガのキャラからも影響を受けたりして、お互いが「あのキャラどう?」って提案して、「うわ、あんま動かんなぁ」みたいに話しながらネタをつくってます。
良いキャラを見つけて、キャラが勝手に動き出したときのあのワクワク感は、コントもマンガも意外と似ているのかもしれないな、と思いますね。
取材・執筆:水沢環
撮影:佐野優典
編集:今井雄紀(株式会社ツドイ)
プロデューサー:金子大清(株式会社ツドイ)
ヘアメイク:米尾太一
スタイリスト:高岸陽








